|
入院2日目。13:30。
手術用のウエアへ着替えが済み、小手術室へストレッチャーで移動しました。
先生に「奥さんは外で待っててくださいね」と言われ廊下のイスで待ちました。
今回の検査:脊髄に勃起と射精を促す注射をする。
事前に先生から「吐き気や、血圧が下がることがあります」との説明を受けていましたので、少し不安はありましたがそんなに心配はしていませんでした。
10分で勃起と射精の反応が出ると聞いていたので、手術室に入って30分・・・「もうでできてもいいよね」と一人でぶつぶついいながら結局1時間待ち、やっとhideと先生が出てきました。先生は私の顔を見るなり「残念ながら勃起も射精もありませんでしたよ。今後のことはまた後ほど話しましょう。」と言われ頭が真っ白になりました。いつもならすぐに泣いてしまうんですが、涙も出ないほどに何がなんだか分からなくなりました。hideに「具合はどう?」と聞くのに精一杯でhideが答えた言葉が聞こえませんでした。
エレベータで病室に戻り、ストレッチャーからベッドに移動して着替えも済ませるあいだも放心状態でした。
もちろん結果はhideも聞こえていたはずですから、結果には触れませんでした。
それから、3分も経っていなかったと思いますがhideの様子が急変。
「頭が痛い、血圧が上がっていってる」と言うのです。見る見るうちに顔をしかめて「痛い、痛い」と言い出し私は何度もナースコールを押しました。看護師さんが走って来てくれて「助けて、助けて」と顔から血管が浮き出て首のあたりが大きく動いているのが見えました「ゆっくり息をしてください!」と看護師さんは何度も言ってくださり、私は「早く先生呼んでください!!」と大きな声を出してしまいました。急変して5分ほど経ち血圧は250まで上がり、恐ろしいほどにhideの腰あたりが痙攣し「痛い助けて」と何度も叫んでいました。先生が来れて、点滴から血圧を下げる薬と同様の飲み薬のを投薬しました。大量に発汗していましたが、汗を拭かれることも布団を動かされることも体が拒否していました。先生が「おしっこはちゃんと通っているか?」と言われ、布団をはがれました。私はおしっこが出ていることはストレッチャーからの移動のときに見ていましたので、部位は見ていなかったのですが・・・
先生が「あ!!射精が起きている!!早く注射器を!!」と、見てみるとベッドに20センチほど濡れるくらいの大量の精液が流れていました。
でも、そのときは嬉しくなかったんです。そんなこともうどうでもいいから早くhideを助けて欲しいと思いました。
もう二度とこんなことはできないと思いました・・・。
看護師さんが注射器を持ってくるのが遅く、先生がご自身で走ってとりにいかれました。注射器に取れた分は少量ではありましたが、先生がすぐに調べに行ってくださいました。その間もhideは苦しそうに、何度も何度も上がってくる胃液を吐き出し私は洗面器を握っていることしかできず、今回の検査を何度も後悔しました。本当に、このままhideを失うんではないかと、心臓が早く打ち膝ががくがく振るえて止まりませんでした。
様態が悪化して1時間、3分おきに吐いても出てくるものは何もないのにずっとえづくhideを見て、とても怖くなりました。
返事もしないんです。
それから同じ状態が5時間続きもう19:30をまわっていたと思います。私も中腰で立っていたものですから、イスに座りました。
するとhideが目を少し開けて「momoごめんね」と言うんです。
「頭は?!痛い??」と聞くと「痛い」と言いまだ吐き気は治まらずにいました。
でも、目を開けて何か言ってくれただけでも、少しほっとしました。
長時間、同じ態勢から動かせなかったので「体位変換しようか」と私が言うとhideは「まだ無理」と言うので、もう少し落ち着いたらしようと思っていたのですが、ふと我に返ってさっきの射精で布団が濡れていたことを思い出しました。
ジョクソウができては困ると思い「少し動かすよ」と言って動かしました。体がぶれると吐き気もひどくなるようでまた、またもどしてしまいました。
少し落ち着き始めたので、hideに先生からの報告を言いました(聞こえていたかは分かりませんが)
「元気な精子が沢山いたんだって。」
さっき、先生が知らせに来てくださったときは私も気が動転していたので「今はそんなことどうでもいいから早くhideを助けてください」と思ってしまったんです。本当はどうでもいいなんて思ってないんでしょうけど。
するとhideが少し笑ってくれました。
面会時間もとうに過ぎていましたので、ナースステーションへ行き「もう少し落ちつくまでいます。」と言い、部屋に戻りました。
22時を過ぎ、新たに吐き気止めと血圧を下げる薬を投薬し、徐々に落ち着きました。私はトイレに行きたかったので席はずし、戻ってくるとhideは寝息を立てていました。
安心しました。
夜勤のベテラン看護師さんが「あんたもようがんばったね、帰って休まんと明日も朝はようこんばとやけん。」と言ってくださり、この方なら大丈夫と思い体位変換を頻繁にしてくださいとお願いして22:30に実家に帰宅しました。
入院3日目
7:15に家を出て多少混んでいましたが何とか病院まで車で40分ほどで着きました。
病室に着くまで色々なことを考えました。「昨日の夜中に急変していたらどうしよう」とか「まさか病室にいないなんてことないよね」とか不吉なことばかり考えてしまいます。
病室のカーテンが少しあいていました。そっと覗くとベッドの上にhideが座っているのです。
本当に信じられませんでした。
私は入院が長引くと思い前の晩、沢山の着替えやタオルを用意していましたのでそれをもって行きましたが「え??」「もういいの?」私の頭はハテナの状態になりました。
hideは「まだ頭は痛いけどね、生きてたよ、死んでなかった。」と笑っていました。
私も肩の力がどっと抜けて、持っていた荷物がいきなり重く感じました。
そうこうしている間に先生が来られて「どうね?今日は退院できるかね?」と言われたので、私はビックリして・・・まさか昨日アレだけ三途の川を途中まで渡ってきた人を今日帰すの???と思いました。
しかし、間髪いれずにhideは「はい!帰れます!」と言ったので、こればっかりは呆れたと言うか苦笑いして「お願いします」と言うしかありませんでした。hideは自分の体のことを、少なくとも私よりは分かっていますので、任せるしかなかったのですが。
先生が「昨日奥さんには言ったんだけどね、それどころではなかったでしょう。hide君元気な精子がいっぱいおったよ。良かったね!でも今後同じ方法では採精できないから、そうなると大学病院なんかで他の方法をとらなければいけないね。そのことはまた後日落ち着いてから話そう。」とのことでした。hideはへへと言いながら聞いていました。実際の気持ちはどうだったのでしょうか。
午前中に採血でホルモン検査をしたら帰っていいとの事でしたので、最後に外来に行き様子を診てもらいました。
会計を済ませ、病室に領収証を渡しに行かなければいけなかったのですがhideが「おいがもっていくけ〜ん」と言って6階まで持っていってくれました。
なんだか、変な気分でした。
とにかく荷物を車に運び入れました。
hideがアイスが食べたいと言ったので「帰りにコンビによろっか??」と言い、アイスを買って帰りました。
いつもならせいぜい100円アイスですが、160円のhideが好きそうなものを10個も買いました。
家に帰るとmomo母が私がバタバタしていると思ったのか、お弁当を作ってもってきてくれました。
そして、今日の朝。
朝ごはんを食べたあと「今日の朝はすがすがしい!朝ごはんもいい感じ。」とか、わけのわからないことをいいながら出勤していきました。
少し首が痛いと言っていましたが、そんなにひどくはないようです。
今回のことで、私は分かりました。
結婚して子供が欲しいと思い始めた時から「こどもこども!」と毎日騒ぎ立てて少し不安が募ってきていたようです。
でも、hideがいるからそんな贅沢な悩みができるわけであって。
一番大切なのはhideなんだと気がつきました。
失いかけないと分からないなんて、わたしはひどい人間だと思いました。
今後のことについてはまた、後日書きます。
それでは・・・
心配してくれて支えてくれた皆様にこころから感謝しています。
hideの精子は元気いっぱいで量も沢山ありました!
良い報告ができました。
written by momo
|